今回は円安と円高が与える影響についてご説明します。一般的に、円安または円高になると、大きく分けて以下4つの影響があると言われています。
- 輸入品の価格
- 日本からの輸出品の競争力
- 外貨建て資産価値
- 日本の債権・株式価格
具体的には以下の通りです。
円高になると、
- 輸入品の価格が下がる
- 日本からの輸出品が値上がりして競争力が下がる
- 外貨建て資産が目減りする
- 海外資本が流れ込んで債権や株式の価格上昇する
円安になると、
- 輸入品の価格が上がる
- 日本からの輸出品が値下がりして競争力が上がる
- 外貨建て資産の価値が上がる
- 海外資本が流出して債権や株式が下落
輸入品の価格
これは最も我々の日常生活に影響が大きいですが、海外からの輸入品の価格が上昇します。ガソリン価格や食料品(ex.ワイン、チーズ、肉)、化学品、電子機器(ex.iPhone)など多くの製品価格が為替の影響を受けます。
日本からの輸出品の競争力
為替は日本から海外に輸出する製品の競争力にも大きく影響します。国内原料で生産された製品は原料費、製造経費が円ベースですので、円安になると売上として受け取るドル貨の価値が上がるため価格競争力が増します。
為替は円貨で決算集計する日系企業の業績にも大きな影響を与えます。例えば、トヨタ自動車はドル為替が110→134円、ユーロ為替が131→139円と円安方向に動いた影響で、連結営業利益が+5,650億円増えたと発表しています。
外貨建て資産価値
ドル建の株式や債権、例えば米国株式や米国債権は、円安になれば円貨での価値は上がりますが、逆に円高になると円貨での価値は下がります。一方、ドル建の債務を持っていた場合、円安になれば円貨での債務の価値は上がりますが(つまり債務がより重くなる)、逆に円高になると円貨での価値は下がります(つまり債務がより軽くなる)。
日本の債権・株式価格
一概には言えませんが、円安になると海外投資家は円の価値=日本市場の魅力が落ちたと判断して資金を引き上げ、逆に円高になると資金を投入する傾向があると言われます。しかし、円安時に中国人が都心の不動産を買い漁ったように、円安メリットを活かして投資する海外勢もいるため一括りにして説明するのは難しいです。
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