為替を左右する要因詳細(中長期編)

今回は為替を左右する要因について説明していきます。

ドル円為替を左右する要因は何か?
為替に影響する経済指標はどういったものがあるか?
各国要人の発言が為替に影響するのはなぜか?

といったことを説明していきます。

この記事は、読者の方が、為替の動きとその要因をパッと説明できるようになることを目指して書いています。

それでは本題に入っていきましょう。

結論:中長期の円安・円高の原因は大きく分けて5つ!

為替は、基本的には各国通貨の需要(=通貨の市場ニーズ)と供給(=通貨の供給量)の多寡によって変動しますが、それに加えて実際の実需家ではない投機筋(ex.ファンド、為替ディーラー、個人投資家)と言われる投機的に資金を投入して利益を獲得しようとする市場参加者の影響も受けます。

今回は需給に焦点を当てて説明しますが、投機筋も当然為替の需給を見ながら取引していますので、これを理解すると投機筋の動向を理解する事にも繋がります。

為替を左右する要因には、大きく分けて中長期の要素と短期の要素があり、今回は中長期の要因を説明していきます。中長期で為替に影響する要因は以下の通りです。

世界全体の景気
国の景気
貿易収支
金融政策
物価

短期の要因はこちらの記事で説明していますので、よかったらお読みください!

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1. 世界全体の景気

世界全体で景気が良いと個人や企業、政府が積極的に投資するムードが高まりますので、比較的リスクが高い資産に多くの資金が流入します。(尚、ここでは、リスク、つまり不確実性とリターンは正の相関関係があるので、ハイリスク=ハイリターン、ローリスク=ローリターンと考えてください。)

一方、景気が悪くなるとリスクオフの傾向が強くなり、ハイリスク資産に投資していた資金を引き上げて、リターンは少ないが確実性の高いローリスクな資産に資金を移します。

為替にも同様のことが言えて、世界全体で景気が良いと、リスクの高い新興国通貨(ex.ブラジル、インド、東南アジア)に資金流入します

逆に景気が悪くなるとリスクオフの傾向が強くなり、ハイリスク資産に投資していた資金を引き上げて、低リスク資産である米国ドルや日本円に資金が流入します。

2.国の景気

基本的には、国の景気が為替に与える影響は世界全体の景気と同じメカニズムです。例えば、世界景気が回復傾向にある中で中国だけでコロナ再拡大したニュースのように、その国個別の事情で景気観測が変わった場合はその国の通貨に影響します。

出典:東洋経済オンライン

3.貿易収支

上記2つは抽象的な要因でしたが、貿易収支は為替に影響する1つの大きな要因です。

貿易収支が黒字:輸入額 < 輸出額
貿易収支が赤字:輸入額 > 輸出額

ですが、一般に貿易収支が黒字になると、通貨高になると言われます。

例えば、日本から米国への輸出が増えると、(国際貿易では基軸通貨であるドルを使うのが一般的なため)日本企業は米国企業から代金を米国ドルで受け取り、自国通貨である円に換金します。その換金は「ドルを売って円を買う」ことになりますので、円高&ドル安が進行します。

一方、米国から日本への輸入量が増えると、日本企業はドルで米国企業に対して支払う品代が増えますので、「円を売ってドルを買う」動きが加速して円安&ドル高が進む傾向が強いです。

貿易収支はその国の輸入金額と輸出金額から構成されますので、貿易収支が黒字か赤字かは為替の売り買いに直接的に影響を与える重要な指標になります。

4.金融政策

一般的に、金利が高くなった国の通貨は上昇し、金利が低くなった国の通貨は下落する傾向があります。低金利通貨を売って、高金利通貨を買い、より多くの収益を得たいと思う人が増えるからです。

現在、ドル高円安の傾向が強い理由は、日米の金利差です。インフレ抑制のために段階的に金利を引き上げている米国に対して、日本はインフレ目標2%に向けてゼロ金利政策を継続していることが影響しています。

下図の通り、日米金利差が広くにつれてドル高・円安が進行していることが分かります。

出典:トウシル

5.物価

インフレになっている国のほうが通貨安になる傾向があります。インフレとはその国でモノの価値が上がって、通貨の価値が下がることを意味します。

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